| Preamble | ある艇を、他の艇が避けなければならない場合は、当該艇は航路権を持っていると言う。
しかし、B 節および C 節の規則の中には、航路権艇の行動に制限を加えてものもある。
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| ・Overview | A 節はいづれの艇が航路権を持つかを定める 4 つの基礎的な規則を含んでいる。 定義に含まれる用語: 避ける. |
| ・Basic | A 節の前書きでは、2つの点が述べられている。 第1に、"航路権" が何を意味するか:ある艇を、他の艇が"避け"なければならない場合は、当該艇は航路権を持っている。 2番目に、ある艇が "航路権" を持っている場合でも、B 節(規則 14, 15, 16 & 17) または C 節(規則 18 & 19)により、その行動に制限が加えられていることである。 "航路権" および "避ける" は、競技規則では重要な概念であり、 重要な概念.の中の "航路権規則と避けること" で、その意味を検討する。 |
| ・Advanced | A 節で述べられている航路権規則は基礎的な航路権規則であり、 C 節 [規則 18] または D 節 [規則 20] により他の航路権規則に置き換えられない限り、 常に適用される。 しかし、ある艇が A 節、C 節または D 節の規則にしたがって航路権を持っている場合でも、 その航路権艇の行動には B 節および C 節の制限が常に加わる。 |
| 2艇間では、レース規則では、一方は常に航路権を持っており(航路権艇)、 他方はその艇を避けなければならない(避航艇、the giveway, burdened or keep clear boat)。 この唯一の例外は、一方が転覆しているかしていた、投錨している、座礁している、 または他の艇を救助しているため、規則 21 (転覆、投錨または座礁; 救助) が適用される場合だけである (これらの場合に生じる義務は、その艇を "避けること(keep clear)" ではなく、 "避けること(avoid)"である)。 | |
| 10 | 反対のタック 艇が反対のタックの場合には、ポート・タックの艇が、スターボード・タックの艇を避けなければならない。 |
| ・Overview | 規則 10 では、基礎的航路権規則の一つ、P は S を避けなければならない、を定めている。 定義に含まれる用語: 避ける および タック、スターボードまたはポート. |
| ・Basic | 2艇が反対のタックであるならば、P は S を避けなければならない。 もし、両艇が交差するコースを取っているならば、S を避ける行動を取ることが P の義務である。 |
| この規則は単純であるように思えるが、P が S を避けたか否かはしばしば曖昧であるため、 非常に多くの抗議のケースを引き起こす。 多くのセーラーは、規則 10 に基づく抗議で論点となるのは、S がコースを変えなかった場合、 S が P に当たっていたかどうかであると、誤って信じ込んでいる。 これは、正しい基準ではない。 ISAF のケース 113 によると、問題は、S が"衝突に対する合理的な危惧(reasonable apprehension)"に 基づいてコースを変更したかどうか?、ということである。 別の言葉で言えば、S が元のコースを取っていた場合、実際にはS は P に接触しなかったかも知れないが、 P に衝突するかも知れないとの合理的な危惧に基づいて S がコースを変えたのであれば、 P は規則 10 に違反したことになる。 もし、S が P を避けるためのコースの変更をせずに、かつ何の接触も生じなかったならば、 S が P にどんなに接近したとしても、 P は S を避けたことになり、規則 10 には違反していない。 | |
| ・Advanced | "コースを保持せよ。" P が S の前を横切ろうとしており、それが可能であると考えているならば、 P は S に "コースを保持せよ"と声をかけることがある。 規則 10 では、S がコースを保持することを要求しているわけではなく、 また、P が声をかけたことで S の行動が拘束されるのでもない。 しかし、S は規則 16 (コースの変更)に従わなければならず、もし S がコースを変更するのであれば、 P が S を"避けるためのルーム"(速やかにかつシーマンライクに行動して、P が S を避けるのに必要なスペース) が得られるように、P から充分離れたコースをとらねばならない。 この声をかけることは、二つの意味を持っている。 一つは、S に P がここに居るとの警戒警報を発することであり、 従って、S は、自艇は規則 16 に従わなければならないこと (および、P に"避けるためのルーム"を与えない限り、コースを変更できないこと) を 多分認識するであろう。 第2に、P は S の前を安全に通過できると考えていることを S に知らせることになり、 従って、S が(P を避けるために)コースを変えたとしても、 それは "衝突するとの合理的な危惧" によるものでは、多分、ないであろう、 ということを、PC(プロテスト委員会)にアピールすることにもなる。 |
| S が上れる方向に風のシフトが生じた場合。 S がコースを変えたか否かは、風に対する相対角度ではなく、コンパス方位に関してである。 従って、風のシフトが生じて、S は次にマークに向けてより近いコースを取ることができるようになり、 また P は S の前を安全に通過できなくなった場合、S は規則 16 に従い、 P が"避けるためのルーム" (速やかにかつシーマンライクに行動して、P が S を避けるのに必要なスペース) を持てる程度に P から充分離れてコース変更する場合に限り、 この風のシフトを利用してコースを変更することができる。 | |
| ・Example |
・Example 1 で、S は風上マークへクロース・ホールドで帆走中である。
P はマークを廻航して、次のレグを風下へ向かって帆走中である。
P は S を避けなければならず、従って、S を避けるようコースを調整しなければならない。
しかし、S には規則 16 (コースの変更) が適用されるので、コースを変えて P に近づき、
その結果、P が速やかにかつシーマンライクに行動しても、S を避けることができなくなる
ようにしてはならない。
規則 16 を見られたい。 |
| ・Related | P が S を避けたかどうかを判断するに際して、S がコースを変更したかどうか、 また、変更したのであれば、規則 16 (コースの変更)に従って、 P に対して S の新しいコースを"避けるためのルーム"を充分に与えたかどうか、 という点を考慮することが重要である。 |
| 11 |
同一のタックでオーバーラップしている場合 艇が同一のタックでオーバーラップしている場合には、風上艇が 風下艇を避けなければならない。 |
| ・Overview | 規則 11 では、基礎的な4つの航路権規則の一つ、W は L を避けなければならない、を与えている。 定義に含まれる用語: クリア・アスターンおよびクリア・アヘッド; オーバーラップ、 避ける および 風下および風上. |
| ・Basic | 2艇が同一のタックでオーバーラップしているならば、 W は L を避けなければならない。 しかし、これは L はどんなコースでも帆走できる(または、W に対して制限なくラフできる) ということを意味しているのではない。 第1に、規則 16 (コースの変更)により、L がコースを変える時はいつでも、W に"避けるためのルーム" (つまり, W が速やかにシーマンライクに行動して、L を避けるのに必要なスペース) を与えなければならない。 第2に、規則 17.1 (同一のタック; プロパー・コース) に従うと、 L が W のクリア・アスターンからオーバーラップしたのであれば、 L はプロパー・コース以上に風上に向かって帆走してはならない。 |
| ・Advanced |
"避ける"の定義によると、L が W に直ちに接触することなしに、
自らのコースを変更することができる場合は、W は L を避けていることになる。
この事は、L の周囲には W が入ってはならない物理的な領域が存在していることを意味している。
もし W がこの領域に入った(または、L が接近して来て W がその領域に入った時、その領域から抜け出せなかった)
ならば、W は L を"避け"なかったのであり、規則 11 を犯したことになる。
Diagram 2 は、W が避けなければならない"領域"を示している。
その"領域は L の風上側のバウからスターンに広がっている。
"避ける" を見られたい。 |
| 規則 17.1 は適用されない場合は、L は規則 16 に従っている限り、 風位に立つまで W に対してラフすることができる。 しかし、どちらかの艇が風位を越えたならば、 その艇に対しては規則 13 (タッキング中)が適用される。 | |
| スタート信号の前後でのラフィングに関する規則は、一つの注目すべき例外を除いて同一である。 "プロパー・コース"の定義によると、スタート信号以前ではプロパー・コースは存在しないのであるから、 オーバーラップがそれ以前から生じていたとしても、 規則 17.1 はスタート信号が発せられて以降にだけ、適用される。 | |
| ・Examples |
・Example 2 では、W は L の風上側を通過している。
言い換えると、W は L のクリア・アスターンからオーバーラップした。
W は L を避けなければならない。
"避ける"の定義によると、L が W に直ちに接触することなくコース変更できる程度に、
W は L から充分離れていなければならない。
もし、L がコースを変更するのであれば、L は規則 16 (コースの変更)に従って行動しなければならず、
W に L を避けるためのルーム
(つまり, L がコースを変えた後、W が速やかに、シーマンライクに行動して、
L を避けるのに必要なスペース)を与えなければならない。
規則 17.1 (同一のタック; プロパー・コース)は L に適用されないのであるから、
L はプロパー・コースの制限を受けず、風位に立つまでラフしてもよい。
・Example 3 では、L は W の風下側を通過しようとしている点を除き、 L と W は Example 2 と全く同じ状況である。 言い換えると、L は W のクリア・アスターンからW にオーバーラップした。 ここでも、W は L を避けなければならず、 L が直ちにW に接触せずにコース変更ができる程度に、L から充分離れていなければならない。 規則 16 (コースの変更) は、ここでも、L のどのようなコース変更に対しても適用されるので、 L はクリア・アスターンから W の2艇身(Lの全長の2倍)以内にオーバーラップしたのであるから、 規則 17.1 (同一のタック; プロパー・コース) に従って、L は、その2艇身以内のオーバーラップ が続く間はプロパー・コース以上に風上に向かって帆走してはならない。 従って、L はプロパーコースまでラフできるだけである。 |
| ・Related | 規則 16 は、L が W に対してラフする際の仕方 (つまり, W が速やかにシーマンライクに行動して、L を避けることができる様な 仕方でだけ、ラフしてもよいということ)について規定している。 L が W に対してどこまでラフしてよいか、ということについては規定していない。 L がどこまでラフしてよいか、つまり、L が風位に立つまでラフできるか、または、プロパーコースまでか、 ということは、規則 17.1 で決められている。 |
| L が W に対して航路権を得た時、規則 15 (航路権の取得) により、L は W に、L を"避けるためのルーム" (つまり, 速やかにシーマンライクに行動して、L を避けるのに充分なスペース) を与えなければならない。 これは、L が W のクリア・アスターンからオーバーラップする場合、 W が L に接触せずに避けれるように、W から充分離れてオーバーラップしなければ ならないということを意味している。 (例えば、W が L を避けるために直ちにバウを風上へ向けて、スターンを振ったとしても、 接触しないように、W に充分なスペースを残さなければならない。) | |
| 12 |
同一のタックでオーバーラップしていない場合 艇が同一のタックでオーバーラップしていない場合、クリア・アスターン の艇はクリア・アヘッドの艇を避けなければならない。 |
| ・Overview | 規則 12 では、4つの基礎的な航路権規則の一つ、 AS は AH を避けなければならないということが定められている。 定義に含まれる用語: クリア・アスターンおよびクリア・アヘッド; オーバーラップ および 避ける。 |
| ・Basic | 2艇が同一のタックでオーバーラップしていない場合は、AS が AH を避けなければならない。 この規則は非常に単純である。 もし、君(他艇のクリア・アスターン艇)が他の艇の後部へ追突したのであれば、 君は AH 艇を避けていなかったのである。 |
| ・Advanced | AH は、AS がクリア・アスターンから風下側にオーバーラップして、 航路権を得ようとしていると予想する必要はない。 AS は規則 15 (航路権の取得) にも従わなければならず、 AS がオーバーラップして航路権を得た後、 AH に対して AS を"避けるためのルーム"を与えなければならないのである。 (また、そのオーバーラップをした時、AH の2艇身(ASの艇長の2倍)以内であれば、 AS は規則 17.1 にも従わなければならない)。 従って、AH が速やかにシーマンライクに行動しても、AS を避けられない程度に、 AS が AH に接近してオーバーラップしたのであれば、 AS は規則 15 に違反したことになる。 |
| ・Example |
・Example 4 では、P と S は、P の直後に S が続いて、風下へ帆走中である。
P と S は反対のタックであるから、規則 12 は適用されない。
従って、規則 10 により、P は S を避けなければならない。
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| ・Related | もし AH が セールに裏風を受けて、水に対して後進しているのであれば、 規則 20 (スタートの誤り;ペナルティの回転;後進) が適用され、 AH は AS を避けなければならない。 |
| 13 |
タッキング中 艇が風位を越えた後、クロースホールドのコースになるまでは、他の艇を避けなければならない。 この間は、規則 10 、11 および 12 はその艇には適用されない。 2艇が同時にこの規則の適用を受ける場合には、相手のポート側にいる艇が避けなければならない。 |
| ・Overview | 規則 13 では、4つの基礎的な航路権規則の一つ、 タッキング中の艇は他の艇を避けなければならないということが定められている。 定義に含まれる用語: 避ける. |
| ・Basic | (タッキングしようとして、または他の理由で)風位を越えた艇は、 再び"クロースホールドのコース"になるまでの間、他の艇を避けなければならない。 "クロースホールドのコース"とは、セールをいっぱいに張り引き込んだ状態で 全速でクロースホールで帆走する時の方位のことを意味する。 実際に、セールがトリムされ引き込まれているかどうかということは関係がなく、 コンパス方位だけが問題である。 クロースホールドのコースで帆走しているかどうかも関係ない。 艇の向きが、風位の方向からブロード・リーチの方向に直接変ったのであれば、 一瞬の時間であったとしてもクロースホールドのコースを向いていたはずである。 規則 13 は、クロースホールドのコースを向いたその瞬間に適用されなくなる。 |
| ・Advanced | もし、規則 13 が適用されれば、規則 10、11 および 12 は適用されない( つまり、規則 13 は、規則 10、11 および 12 の通常の航路権規則を "上書き"している)。 従って、タッキング中の艇がスターボード・タック (風位を越えて、今、スターボード側から風を受けている) であったとしても、まだ風位を越えていないポートタックの艇を避けなければならない。 2艇が並んでおり、両艇とも風位を越えた場合は、 2艇のうち左側に位置する艇が避けなければならない(他方が航路権を有している)。 |
| 規則 13 は艇が風位を越えた瞬間から適用され始め、 クロースホールドのコースに向くまで適用され続ける。 従って、タッキングを開始して風位を越えたが、 タッキングをやめて元のコースに戻ろう決めた場合でも、 クロースホールドのコース(どちらのタックのクロースホールドかには関係なく) に再び戻るまでは他の艇を避けなければならない。 | |
| ・Related | RRS の"タック"の定義によると、艇は常にスターボードかポートのいずれかのタックの状態にある。 これは、IYRRの定義からの変更である。 IYRR では、艇が風位を越えた瞬間からクロースホールドのコースになるまでの間は、 いずれのタックでもない、とされていた。 |
First
Edition, March 1997
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