・ ・ ・ 国際セーリング競技規則 1997-2000 (RRS) で 斜体 または太字体で 書かれた用語は、RRSの定義の節で与えられる特別の意味を持っている。 この定義用語を用いた規則を正しく理解するためには、定義用語の意味を個々に検討し、 理解しなければならない。 航路権規則、第2節(艇がであった場合)、で用いられる定義用語についてのみ、 このページと定義抜粋 - パート 2で検討する。 r-o-w 等の省略記号については 序説で説明している。

Clear Astern,
Clear Ahead,
Overlap
クリア・アスターン および クリア・アヘッド; オーバーラップ
艇体および正常な位置にある艤装が他の艇の艇体または艤装の最後部の位置から 真横に引いた線より後方にある場合、その艇は他艇のクリア・アスターン であるという。 他の艇は クリア・アヘッドである。 どちらも クリア・アスターン でない場合、 または両艇の間にいる艇が両艇に オーバーラップ している場合には、 両艇はオーバーラップ しているという。 これらの用語は、規則18が適用される場合を除き、反対のタックの艇には適用されない。

・Overview クリア・アヘッド、クリア・アスターンおよびオーバーラップはすべて、 2艇がオーバーラップしているか否かに関連している (また多くの規則はオーバーラップが存在するか否かにより異なってくる)。 規則 11, 12, 17.1, 17.2, 18.1, 18.2, 18.3, 18.4, 18.5 および 避けること の中で 用いられている。
・Basic 2艇が定義に従い"オーバーラップ"しているか否かを判定するには、 まず定義の用語が適用できるか否かを調べなければならない。 クリア・アヘッド、クリア・アスターンおよびオーバーラップは、 マークまたは障害物を通過または通過しようとして、 規則18(マークまたは障害物の通過)が適用される場合を除いて、 反対のタックの艇には適用されない。 つまり、2艇が物理的にオーバーラップしていても、規則18が適用される場合を除いて、 両艇は同じタックでなければ、定義による"オーバーラップ"とはならない。
次に、両艇が同じタックであるかまたはマークか障害物を "通過しようとしている"(または通過している)ならば、 "オーバーラップ"しているか否かを判定するには、 オーバーラップの"物理条件"を満たすか否かを判定しなければならない。 まず、ある艇(つまり艇体または正常な位置にある艤装)が全て 他の艇(艇体または正常な位置にある艤装を含む)の最後部から垂直に引いた線より 後方に位置しているならば、その艇は他の艇のクリア・アスターンである。 Diagram 1 で、Bのどの部分も破線(Aの最後部を通って中心線に垂直な線)より前に 出ていなければ、BはAのクリア・アスターンである。 ある艇がクリア・アスターンであれば、他の艇はクリア・アヘッドであるから、 AはBのクリア・アヘッドである。 次に、2艇のどちらも他艇のクリア・アスターンでない (または両艇の間に位置している第3の艇に両艇ともオーバーラップしている)ならば、 両艇はオーバーラップしている。 Diagram 1 で、CはAのクリア・アスターンではない(Cの艇体および正常な位置にある艤装の一部が、 Aの最後部を通る破線の前方に出ている)から、AとCはオーバーラップしている。
オーバーラップしているか否かを 判定するには、後方の艇のバウではなく前方の艇のスターンから見ることが大切である。 下記の例 2 を見られたし。
・Advanced 2艇が反対のタックであれば "オーバーラップ" (および "クリア・アスターン" と "クリア・アヘッド")は、 規則18が適用される場合を除いて、適用されない。 規則18は風上マークへ向かう反対タックの艇には適用されない (規則 18.1を見よ)から、 これは、風上マークへ向かう反対タックの2艇では、"オーバーラップ"は存在しないことを意味している。
オーバーラップが生じるのは 3 とおりの場合がある。 (a) クリア・アヘッドおよびクリア・アスターンから、 (b) 一方の艇がタックを変えることにより両艇が同一タックになった時、または (c) 両艇が反対タックで、規則18(マークまたは障害物の通過)が適用になった時。
IYRRでは、一方の艇がタックを変えるか、スタートラインを横切るか、 または他艇との距離がある値以下になった場合は、 オーバーラップは自動的に消滅または新たに開始するとされていたが、 この概念は削除された (ただし、ある種の規則は、2艇身以上離れてオーバーラップしている艇には適用されない)。 従って、同じタックの2艇に規則18が適用されている時、一方がジャイブするとしても、 同一のオーバーラップが継続していることになる。 どのようにしてオーバーラップが始まってかということが重要となるのは、 規則17.1(同一のタック;プロパー・コース)が適用されるか否かに関してだけである。
・Examples ・Example 1では、A、B両艇は共にポートタックであり、Bの艇体および正常な位置にある艤装の 一部がAの艇体または艤装の最後部の位置から真横に引いた線より前方にあるので、 B は A にオーバラップしている。 C は A または B と同一のタックでないので、いづれともオーバーラップしていない。
・Example 2 では、DとEは同じタックである。 しかし、Dの艇体または正常な位置にある艤装の最後部を通って艇の中心線に直角に引いた線より、 E は後方に位置しているので、EはDのクリア・アスターンである。 E のバウから直角に見ると(赤の実線)、2艇がオーバーラップしているかのように見えるが、 そうではない。 オーバラップに関係するのは、Eのバウではなく、Dのスターンを通って引いた線である。
・Example 3では、P と S はアンカーを打った艇の同じ側を通過しようとしている。 P と S は反対のタックであるが、規則18が適用されているので、両艇はオーバーラップしている。 両艇はマークまたは障害物の同じ側を通過しようとしているので、規則18が適用される。 規則 18.1 を見られたし。

・Example 4 では、PとSはポーと側に見て廻るべき風上マークへアプローチしている。 PとSは反対のタックであり、規則18は適用されないので、両艇はオーバーラップしていない。 PとSはマークまたは障害物の同じ側を通過しようとしているのであるが、 マークを通過するには一方の艇がタックをしなければならないから、 規則18は適用されない(規則18は風上マークには適用されない)。 規則18.1を見られたし。
Finish フィニッシュ
艇体または正常な位置にある乗員か艤装の一部が 最終マークの方向からフィニッシュ・ラインを最初に横切った時、 その艇は フィニッシュ したという。 ただし、その艇がペナルティを履行する場合は、規則31.2または44.2を満たした上で 同様にしてフィニッシュ・ラインを横切った時 フィニッシュ したという。


・Overview フィニッシュは時間計測上、 いつレースをフィニッシュしたかを決めるものであり、 レースを終了したか否かを決めるものではない。 この用語は プロパー・コース および レース中 の中で用いられている。
・Basic この定義によると、最終マークの方向からフィニッシュ・ラインを横切った時、 または何らかの規則違反に伴い、規則31.2(マークとの接触)または規則44.2(720°回転)に従って ペナルティを履行するのであればそうした上で、 同様にフィニッシュ・ラインを横切った時に"フィニッシュ"したことになる。
・Advanced RC が号砲を鳴らしたか否かは正しくフィニッシュしたかどうかには関係がない。 規則86.1(規則の変更)によると、"フィニッシュ"の定義は帆走指示書その他で変更することはできない。 これは、もし帆走指示書で上の定義と異なる方法でフィニッシュするよう指示されていたら、 帆走指示書を無視して、上の定義にしたがってフィニッシュするべきである。 下記の Example を参照されたし。
・Example ・Example 5 では、RC が X と RC ボートとの間にフィニッシュ・ラインを設定している。 帆走指示書では、艇は、X も含めて全てのマークをポート側に見て通過しなければならない と述べられている。 帆走指示書にしたがってフィニッシュするには、A は X を回り込み、 最終マークの方向に向きを変えてフィニッシュ・ラインを横切らなければならない (フィニッシュ・ラインを横切るのに "buttonhook" ターンを行う)。 正しくフィニッシュするには、A は帆走指示書を無視して、最終マークの方向から (X をスターボード側に見て)フィニッシュ・ラインを横切らなければならない。
・Related もし、フィニッシュ・ラインを横切った後フィニッシュ・ラインとマークをクリアする前に フィニッシュマークに接触した場合はどうであろうか。 "レース中"の定義によると、 フィニッシュ・ラインおよびマークをクリアするまでは、"レース中"である。 また、"レース中"であれば、規則 31.1 (マークとの接触) が引き続いて適用される。 従って、"フィニッシュ"の定義では表向きはレースを終えたことになるが、 "レース中"にマークに接触したことで規則 31.1 により抗議され、失格とされる恐れがある。 しかし、規則 31.2 に従い 360 度の回転を行って、フィニッシュ・ラインのコース側に 完全に復帰してから再度"フィニッシュ"すれば、免罪される。
Keep Clear 避けること
他の艇が回避動作をすることなしに自らのコースを 帆走することができている場合、その艇は他の艇を避けているという。 また、2 艇が同一の タック オーバーラップ している時、 風下艇が直ちに風上艇と接触することなしに自らのコースを 変更することができる場合、風上艇は風下艇を避けているという。


・Overview 避けることという定義は、避航艇が航路権艇を避けることという義務を果たしているか どうかについて定めている。 これは A 節の前文、規則 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 18.2, 18.3 および 20 で 用いられている。
・Basic 航路権艇が"回避行動"をせずに自分のコースを帆走することができる時、 避航艇は避けていることになる。 "回避行動"には、航路権艇が避航艇を避けるのに必要な全てのコース変更を含んでいる ( P が接近中の S を避けなかった場合、 S は P に衝突するのを避けるために コースを変更が必要となる)。 さらに、航路権艇がコースを変えたいと思っても、避航艇が直ちに避ける行動を拒んだため、 航路権艇はコース変更ができず、そのままのコースを維持する時も"回避行動"に含まれる ( S は P の左側に位置して、両艇は並んで風下に向かって帆走しているとする。 S が P にラフすると伝えても、P がルームを与えるために "速やかにシーマンライクに" 行動しなかった場合)
・Advanced もし、航路権艇がとった回避動作を後でプロテスト委員会が、 その状況のもとでは正当なものであったと判断した場合には、 後でその回避行動は全く必要でなかったと分かったとしても、 避航艇は"避けて"いなかったと判断するべきである。 他の言葉で言えば、避航艇は接触を避ける以上の事をしなければならない。 つまり、航路権艇が避航艇と衝突の危惧を抱かない程度に充分に 航路権艇から離れていなければならない。
ここで航路権艇 (L) と避航艇 (W) が同じタックでオーバーラップしている場合、 L が すぐ W に接触することなくコース変更ができる程度に W が L から 充分離れている時にだけ、W は L を避けていることになる。 これは、L が"急激なラフ"を行うルームを与えられている事を意味するのではないが、 W は、L に、いづれの方向にもある程度のコース変更ができるだけの 充分なルームを与えなければならない。
・Example ・Example 6 では、W と L は同一のタックでオーバーラップし、 少しづつ接近するコースを帆走している。 その結果、W は L に接近し過ぎ、L が多少コース変更をしようとすると、 すぐ W に接触する程度にまでなっている。 W は、定義の"避ける"の程度にはLを"避けて"おらず、従って規則 11 に違反している。 規則 11 を参考されたい。
・Related A 節の前文によると、ある艇が他の艇を"避ける"必要がある時、他の艇は"航路権"を持っているという。
Leeward,
Windward
風下風上
艇の風下側とは、風向から遠い側をいう。 また風位に立っている場合には、それまで風向から遠かった側をいう。 ただし、バイ・ザ・リーまたはちょうど風下方向に走っている場合には、 メイン・セールの出ている側を風下側という。 反対の側が風上側である。 同一のタックの 2 艇がオーバーラップしている場合には、 他艇の風下側にいる艇が風下艇であり、他艇が風上艇である。

・Overview 風下と風上は、艇のどちら側が風上または風下であるか、 または 2 艇が同一のタックでオーバーラップしている場合、 どちらが風上艇または風下艇であるかを定義している。 規則 11, 17.1, 17.2, 避けること および タック、スターボードまたはポートで 用いられている。
・Basic 風下側とは風の方向から遠い方の側であり、反対側が風上側である。 以下の2つの特別な場合だけは、その例外である。 (1) 艇が風位に立っている場合(この場合は、それ以前の風下側、風上側がそのまま持続する)。 および (2) 艇が真っ直ぐ風下側へ、またはバイ・ザ・りー状態 (この場合は、風の方向でなくメインセールの位置で風上、風下を定める。 メインセールの出ている側が風下側である)で帆走している場合。
Mark マーク
帆走指示書において、艇に対して特定の側を通過するように要求されている物体をいう。 ただし、アンカー・ラインおよび一時的または偶然に付着した(取り付けられた)ものを除く。


・Overview 定義のマークでは、規則 18 (マークまたは障害物の通過), 28 (コースの帆走) および 31 (マークとの接触)を適用する際に、 どの物体が規則で言うマークであるかということについて定義している。 この定義は規則 18.1, 18.2, 18.3, 18.4, 19.2, フィニッシュ, レース中 および 2艇身ゾーン で用いられている。
・Basic マークとは、定められた側を通過しなければならないと帆走指示書で指示された物体であり、 スタート・ラインおよびフィニッシュ・ラインの両端となるマークも含む。マークであるブイの アンカー・ラインはマークの一部とは見なされない。 (同様に、島がマークである場合は、その島の水面下の部分もマークの一部とは見なされない。)
・Advanced マークに一時的に付着した物体(例えば、マークである船舶の船尾に係留されたディンギー等) は マークの一部ではないので、これらに接触しても規則 31.1 (マークとの接触)違反とはならない。 さらに、このような物体に対して、(マークではない障害物として、) 規則 18 (マークまたは障害物の通過) および 19 (障害物でのタック) が適用される。

この他の定義された用語は 定義抜粋 - パート 2 で扱っている。

First Edition, March 1997
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