・ ・ ・ 1997-2000 規則(the RRS)の 第2節 - 艇が出会った場合 の中の航路権規則は、 全て書き換えられているように見える。 しかし、その規則の多くの基礎的な概念は、1993-96 国際ヨット競技規則(the IYRR)の ものと同じである。ただし、幾つかの重要な変更がある。 変更された規則(および変更内容の説明)の幾つかを、以下に列挙する。 主要な変更点を黄色の星印で示す。[もし、君が 1993-96 IYRR 規則を知らないのであれば、 この節を読み飛ばすことを勧める。]
ラフの権利。 基礎的な規則は、RRS 11(同一のタックでオーバーラップ している場合)の、W は L を避けなければならない、ということである。 これは IYRR 37.1 による規則と同一である。 しかし、L が W に対して、どのように、またいつラフしてもよいか、ということに 関する規則は、RRS 16(コースの変更)と17.1(同一のタック;プロパー・コース)では、 IYRR 38, 39 & 40 の対応する規則より、はるかに短く簡単になっている。 第1に、"急激なラフ"は削除され、L は"任意にラフする"ことはできない。 L は常に、規則 16 に従わなければならず、それによると、L がコースを変更する時は 常に、W に対して"避けるためのルーム"(基本的に、W が直ちにシーマンライクに行動して、 L を避けるのに必要なスペース)を与えなければならない。 第2に、L は W に対して風位に立つまでラフすることができ、また、 L が W のクリヤー・アスターンから W の風下2艇身(Lの全長の2倍)以内にオーバーラップ した場合には、"プロパー・コース"の制限を受けるだけである。 これは、"マスト・アビーム"は削除されたことを意味している。 最後に、艇のスタート信号の前後で、ラフィングに関する規則(RRS 11, 16 & 17.1)は、 ほとんど同一であるということである。 唯一の相違は、艇のスタート信号が発せられるまでは、RRS 17.1 は適用されない ("プロパー・コース"の定義によると、艇はスタート信号以前では"プロパー・コース"を 持たないのであるから)、ということだけである。 従って、L のスタート信号が発せられるまでは、L には"プロパー・コース"による制限はない。
接触。 艇が接触した時に適用される規則には、多くの変更がある。 まず、IYRR 33 が削除されている。 これは、航路権艇が他の艇に接触した場合、 航路権艇は、接触した相手艇に対して有効な抗議を提出しなかったという理由だけで 第3の艇に抗議されることはない。 第2に、RRS 4(接触を避けること)により、艇は(たとえ航路権を持っていたとしても) 常識的に可能であれば、常に他の艇との接触を避けなければならないが、 航路権艇またはルームの権利を持つ艇は、相手艇が避けないかまたはルームを与えてくれないことが 明らかになるまでは、接触を避けるための行動を起こす必要はなく、 また大きな損傷に至らない接触により罰せられることはない。 これは、航路権艇は、相手艇が避けていないことを"証明する"ために、 意図的に相手艇に接触してはならないこと、 また、何らかの損傷が生じた場合は航路権艇は DSQ となるであろうこと を意味している。
・ ・ ・ 航路権の取得。 ある艇のとって、他の艇を避けなければならないという義務が最初に生じた時には、 その艇にはそうするためのある程度の時間とスペースの猶予が与えられる、 ということが IYRR の基礎にある原則であった (ある時は記述され、またある時は暗示されている)。 現在は、この原則は RRS 15(航路権の取得) で特別に記述されており、 航路権艇が航路権を取得する時は、まず避航艇に対して、 航路権艇を"避けるためのルーム"(基本的に、直ちにシーマンライクに行動して、 航路権艇を避けるのに必要なスペース)を与えなければならない。 これは、航路権艇が避航艇に対して最初に航路権を取得するほとんどの状況に適用されるが、 航路権を持っていた避航艇が、意図してそれを失う行動を起こした (そして、そのために避航艇となった)場合には、適用されない。 このような場合(例えば、S/AH 艇が他の S 艇のすぐ前で、ポートにタックした場合など)、 避航艇は RRS 15 により、新しい航路権艇を"避けるためのルーム"の権利はない。 そうではなく、避航艇は航路権を失うのであり、 したがって、新しい航路権艇が自艇を避けることができる場合にだけ、 そのように行動できるということを、知っておかねばならない。
コースの変更。 IYRR のもう一つの一般的な原則は、航路権艇がコースを変更する場合は、 避航艇が航路権艇を避けるのを邪魔したり、または避航中の相手艇を妨害するようなコースの変更を してはならないということであった。 この考えは、RRS 16 (コースの変更)に取り入れられているが、若干表現が変わり、 結果として、RRS 16 のもとでは、航路権艇に対する制限が少し緩和されている。 航路権艇は、避航艇に"避けるためのルーム"(基本的に、シーマンライクな方法で速やかに行動して、 航路権艇を避けるのに必要なスペース)を与えない限り、コースの変更を行ってはならない。 さらに、IYRR 35 に含まれていた3つの例外(IYRR 39.2 に従って急激なラフィングを行う場合、 または、スタートするためかマークを廻航するため、プロパー・コースを取っている場合) は削除された。
・ ・ ・ 2艇身ゾーン内でのタッキング。 風上マークで両艇が反対のタックであり、その一方が他方の艇の直前の 2艇身ゾーン内でタッキングをしたいと場合(一般的には、マークへのレイライン上を 帆走している S の前で、P がタッキングをしたいと考えている場合)、 タッキングする艇は、IYRR 42.3(a) の時に比べて、RRS 18.3 (タッキング)のもとでは、 大幅に権利が制限されている。 このことは、ポートタックのレイライン近くで、ポートタックで風上マークにアプローチ することは、(S の前で安全にタッキングするチャンスは大幅に少なくなっているため) かなりのリスクを伴うであろう、ということを意味している。
・ ・ ・ マークでのジャイビング。 RRS 18.4 (ジャイビング)によると、 2艇身ゾーンに入った時2艇がオーバーラップしており、次のマークへのプロパー・コースを 取るにはジャイビングをしなければならない場合は、航路権をもっている IN は、 プロパー・コースを帆走するのに必要とされる以上にマークから離れて帆走してはならない。 このことは、IN はジャイビングをし、プロパー・コースを帆走しなければならない、 ということを意味している。 IYRR 42.1 によると、IN が IYRR 39.2 のもとでラフィングの権利を持っておれば (つまり、相手艇が "マスト・アビーム" ではないならば) 、 ジャイビングをする必要も、プロパー・コースを走る必要もなかった。 一方、IN がラフィングの権利を持っていない場合は、IYRR 42.1(e) のもとでは、 IN は最初の適当(reasonable)な機会にジャイビングしなければならないが、 プロパー・コースを帆走する必要はなかった。
・ ・ ・ タッキング。基本的な規則は、タッキングをしている艇は、 風位を越えた時点からクロスホールドのコースになるまでの間、 他艇を避けなければならない、ということであり、 RRS 13 (タッキング中) に記載されている。 これは、IYRR 41.1 から変更になっていない。 しかし、"タッキング"の定義は削除されており、 RRS のもとでは、風位を越えた時点からすぐに新しいタックに移ることになる (IYRR では、クロスホールドのコースになってからであるが)。 これにより、風位を越えてからクロスホールドのコースになるまでは、 艇はいづれのタックでもない (つまり, IYRR の定義による"タッキング中"である)という、 幾分奇怪な注釈を削除する結果になっている。 RRS 13 はまた、タッキングした艇は、他の艇を避けて、規則 41.2 の義務に従った ことを立証しなければならない、という IYRR の義務条項をも削除している。
・ ・ ・ ジャイビング。 艇はジャイビング中は、もはや他の艇を避ける必要はなく、 "ジャイビング"の定義も削除された。 しかし、IYRR の定義による"ジャイビング"の動作は、時間的にはほんの一瞬 (ブームが艇に中心線を越えてから、メイン・セールが新しいサイドで風をはらむまでの間) を占めるだけであるから、 ジャイビング中に該当する場合は、あったとしても、稀である。
・ ・ ・ 720度回転のペナルティー。 RRS 44 (2章の規則違反に対するペナルティー)によると、 2章(艇が出会った場合)の規則に違反したことに対するペナルティーは、 速やかに他の艇を避けて帆走し、2回のタッキングと2回のジャイビングを含む 720度回転(同じ方向に2回の360度回転)を行うことである。 もし、艇が規則に違反し、それに対するこのペナルティーを履行しなかったならば、 その艇は DSQ となるであろう。 もし、RC が何か他のペナルティーを適用しようとするのであれば、 帆走指示書に、規則 44 は変更される旨、記載されなければならない。 IYRR のもとでは、RC は帆走指示書で指示することにより、代わりの罰則として 720度回転のペナルティを適用することができた(多くの場合そうした)が、 標準的なペナルティーは DSQ であった。 RRS のもとでは、帆走指示書により適用が除外されていない限り、 720度回転ペナルティーが適用される。
・ ・ ・ 得点。 規則 A2.2 (付録 A に含まれている) の低得点システムでは、 最初にフィニッシュした艇には1点を与えている(IYRR では3/4点であった)。 これは、規則 A2.3 によるタイを解くための規定が、以前にも増して より頻繁に適用されるであろうことを意味している。 さらに付け加えると、早すぎるスタートをした艇について、 記録の際に推奨される略号が PMS から OCS (on course side)に変更になった。
First
Edition, March 1997
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